お灸中心の鍼灸治療にたどり着いたのは?

昔々、まだ医学が確立されていない頃の治療とは、まず、痛いところに手を当てたり揉んだりということが始まりでした。そして例えば歯が痛い時に腕を揉むことで歯痛を軽減させたり、頭が痛い時に足を揉んで頭痛が軽くなったりということを重ねていくうちに経絡というものが発見されたと言われています。
そうなんです、実は昔は医者なんていなくて※0、全部自分自身で、あるいはお母さんに治して(痛みを軽減させて)もらっていたのです。
鍼やお灸でできることは全て手技(マッサージ等)でできるというのが所長、戸ヶ崎の持論です。そのため、ここ蓬治療所の研修第1過程が手技の特訓です。ただ、治療を全部手技でやってしまうと治療者が疲れてしまうというという理由から、治療者が早死にしてしまわないために(半分冗談、半分本気です、昔の鍼灸師は良い先生ほど早死にされる方が多くいました)省力化を図り、まずは手っ取り早い※1鍼中心の治療になりました。

鍼灸師が10人いれば10通りのやり方があると言われているくらい、鍼灸院によって治療方法、治療内容が異なります。蓬治療所も、開所当初は鍼中心の治療だったようですが、所長の戸ヶ崎がいろいろと試行錯誤をしながら臨床試験を繰り返し行い、どの方法が一番効果が高く、また再現性があるかを考え、また自分も疲れないか※2と考えた結果、今のお灸中心の治療方法になりました。

ただし、いろいろなやり方があり、ここでの治療が必ずしも皆さんのお身体に合うかどうかは分かりませんので、自分に合った鍼灸師の先生に少しでも早く出会えることを願っています。
なんて書きながら、日本の気候・風土※3、日本人の体質にはお灸がとても合うと考えています。お一人お一人と向き合い、少しでも多くの方にここを好きになって元気になってもらえるようにといつも考えている私たちです。

※0 今では西洋医学がとても進歩し、医者=神様のごとく何でもできるように思われがちですが、どんなに進歩した医学でも不得意分野はあります。その一つが不定愁訴、いわゆる、検査では何も異常が現れない、でも患者さんはつらいという場合です。そこが東洋医学の得意分野でもありますので、西洋医学と東洋医学を上手に使い分けていただければと思います。
欲を言えば、西洋医学にはかかる必要がないとまで言いたい私たちですが、ここではこれくらいに…。
※1 お灸は火傷の問題が起こりやすかったり、どうしても熱いというイメージがあって嫌われがち、また鍼灸師の技術面から言ってもお灸の方が鍛錬が必要なので、鍼中心の治療を行う鍼灸師、鍼灸院が増えています。
※2 ※1の理由と、戸ヶ崎の師匠が鍼中心だったことから、当院も当初は鍼中心でしたが、手技とは違うもののやはり鍼も自分のエネルギーが鍼を伝って流れる(それによって治療効果が上がる)ので、治療者が疲れてしまうことが分かった。そのため徐々に、火の力と大気のエネルギーによって行う、しかも患者さんも気持ちのいいお灸中心の治療へとシフトしていきました。
※3 中国から伝わった鍼灸ですが、乾燥している大陸(中国)では鍼が、湿度の高い日本ではお灸が特に発達したと言われています。